JAPAN BRAZIL ART CENTER
 
 

オスカーニーマイヤー×大竹富江


Oscar Niemeyer & Tomie Ohtake

Oscar Niemeyer & Tomie Ohtake
あわせて195歳。ブラジル・クリエーション界を代表する両巨匠はいまも大胆不敵な新作を発表し世間を驚かせている。そんな2人のコラボ作品がサンパウロ市に2つある。まずはイビラプエラ・オーディトリアム(800人収容、2005年落成)。公園内の他施設と一緒に1954年に設計されていたものだが、そのフォルムは古めかしさを感じさせない。入口及び正面ホールにあるウネリのある赤い造形が大竹作品で建築にピタリとはまっている。息の合ったセッションはラテンアメリカ・メモリアル・コンプレックス(南米記念センター)のシモンボリバル・オーディトリアム講堂(1,600人収容、1989年落成)でも見られる。壁を情熱的に彩る大竹のタペストリー(620m2)がラテン度満点。こちらも市内の名所でクリントンやカストロらが過去に訪れている。
 

オスカー・ニーマイヤー

 コパカバナーナやイパネマ海岸の官能的な自然や女性の美しさを見て育ち、建築でも硬直したラインを嫌い、流れるような線を好む、今年12月で101歳になる建築家。合理・機能主義の世界に反旗を翻し、独自の感性を貫いてきた、政治思想的には「共産主義者」でもある。
 首都ブラジリアの建築群やリオデジャネイロの美術館が一般に有名だが、1950年代にはサンパウロでも精力的に活動し、巨大展示施設(サンパウロ・ビエンナーレの会場を含む)や高層アパート、商業施設などを手掛けている。今展で紹介するブラジル最大のコンクリート建築コパン(COPAN)もその一つで、波打つ外観の建造物の中に1,160部屋と多数の商店が同居し、まるでひとつの「町」のようだと市民から賞賛されている。そうした型破りな発想と壮大なスケールのデザインを受け入れる、それがラテンアメリカの大国ブラジルの懐の深さである。
 

大竹富江

 アーティストという枠を超え、ブラジルで最も有名な女性の一人である。ヨーコ・オノが表敬訪問し、アニー・リーボヴィッツが肖像写真を撮る存在。95歳の今年、南米最大の国際空港(グァルーリョス)と港(サントス)に巨大モニュメントを制作した。ブラジル経済を支える1,200万都市サンパウロの中心に立地する地下鉄駅にも大壁画がある。
 京都市出身で1936年ブラジルに移住。画家の道を本格的に歩み始めたのは40代からで、まず抽象画で脚光を浴びた。その後版画も手掛け、ヴェネツィア・ビエンナーレ(1972)ではラウシェンバーグやステラと並んで展示された。サンパウロ・ビエンナーレの常連であり、1996年には彫刻作品に対し特別室が与えられた。2001年には自身の名前を冠したインスティテュートが完成。総合文化施設として国際的な展覧会が多数行われている。