コパカバナーナやイパネマ海岸の官能的な自然や女性の美しさを見て育ち、建築でも硬直したラインを嫌い、流れるような線を好む、今年12月で101歳になる建築家。合理・機能主義の世界に反旗を翻し、独自の感性を貫いてきた、政治思想的には「共産主義者」でもある。
首都ブラジリアの建築群やリオデジャネイロの美術館が一般に有名だが、1950年代にはサンパウロでも精力的に活動し、巨大展示施設(サンパウロ・ビエンナーレの会場を含む)や高層アパート、商業施設などを手掛けている。今展で紹介するブラジル最大のコンクリート建築コパン(COPAN)もその一つで、波打つ外観の建造物の中に1,160部屋と多数の商店が同居し、まるでひとつの「町」のようだと市民から賞賛されている。そうした型破りな発想と壮大なスケールのデザインを受け入れる、それがラテンアメリカの大国ブラジルの懐の深さである。